たっくんの絵本 絵本「たっくん」について

絵本「たっくん」

色素性乾皮症の男の子を描いた絵本。障がいのあるなし関係なく、誰もが持つ「魔法」について考えるきっかけになれば嬉しいです。おかげさまで全国の読み聞かせでご活用いただいています。

  • さかきばら たえ(著),ながお たくま(イラスト)
  • 出版社 ‏ : ‎ 三恵社 (2021/9/20)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2021/9/20
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 36ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 486693509X
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4866935096
  • 寸法 ‏ : ‎ 18.9 x 0.8 x 26.7 cm
  • 在庫あり
  • お届け日数:1~3日1

絵本「たっくん」について

この絵本は、少しでも多くの方に、病気への理解を深めると共に、病気と生きる息子の姿を描いています。
息子の匠は「色素性乾皮症」です。紫外線に当たることで、体のあらゆる個所に皮膚がんが出来てしまう難病で、未だ治療方法はありません。

皮膚の疾患だけではなく、年齢を重ねることに、身体の機能がどんどん低下し、重篤な症状が出てきます。
筋肉の機能も衰えるため、歩行も困難になり、食事を飲み込むことも、難しくなると言われています。
そのため、本来うれしいはずの匠の誕生日が、ちょっとだけ複雑な気分になった時もありました。

ようやく病気が分かった時は「遺伝性の病気」と言うこともあり、自分を責めた時もありました。
「なんでうちの子なんだろう」「なんで代わってあげられないのだろう」と、涙も出なくなる程泣きました。
「母親として、私に出来ることはなんだろう」
自問自答を繰り返し、考えついたのが、「食」から匠を支えることでした。

食べる事は、体作りにも繋がり、生きる事に繋がります。それに美味しいものを食べると、皆んな笑顔になりますよね!
私の子供に生まれてきてくれた以上、最高に幸せな子にしたい!
そんな思いから、料理家になることを決めました。

その甲斐あってか、匠はこれまで風邪をひくこともなく、優しく元気に成長しました。
かわいい赤ちゃんや、犬を見れば、いつも満面の笑みで「かわいいね」と言ったり、
泣いている子がいれば「どうしたの?」と、いいこいいこ。 6年生になる子供にしては、心も幼いのですが、そんな息子を何としても守らなければ、そう思い、これまで生きてきました。

でもある日、支えられてるのは私の方だと気づきました。
匠の屈託のない笑顔や、純粋な優しさ、素直でまっすぐで温かい心。
本当に大切なものを、匠はたくさん私に分けてくれました。
これまで匠と出会った、たくさんの人たちにも。
「毎日を大切に笑顔で生きよう」
「生きているだけで、こんなに素晴らしく温かいのだから」

この本を通して、皆さんが大切な方と「あなたのまほうはなんだろうね」と、話し合える機会となれば嬉しいです。
きっと誰もが、自分だけのまほうを持っていると思います。

【あとがきより抜粋】

著者について

榊原妙(さかきばら たえ)

1975年愛知県に生まれる。尾張旭市在住。料理家。この絵本の主人公である息子の難病をきっかけに、「母として精一杯のことをしたい」という想いから食に関する勉強を始め料理家となる。絵本を通じて難病である色素性乾皮症への理解を深め、「障害を持つ=全てが人より不自由」ではないことを伝えていく傍ら、同じ難病のお子さんを周りで支える方に役立つ情報共有サイトの開設を目指して準備を始めている。

長尾琢磨(ながお たくま)

1978年静岡県に生まれる。名古屋市在住。名古屋芸術大学出身。 2012年に「第28回ニッサン童話と絵本のグランプリ」にて絵本大賞を受賞。同年12月、受賞作である『ぴっちとりた まよなかのサーカス』(BL出版)を出版。同絵本のコンサートも各地で開催される。愛知県警の公式絵本『あなただから』『すてきなあなたへ』『いつかきっと』や、岐阜県子供消費者教育絵本『みみんちゃんのおかいもの』、犬山市の『いるかいけがきれた』などを制作。絵本読み聞かせ「おはなし会LuLu」への参加、2018年からNHK講座「はじめてのえほん作り」などの活動のほか、2020年に絵本を受注制作する「YOUR STORIES」を立ち上げ、個人や企業、自治体のオリジナル絵本を制作している。近著に『パパパパパパーン』(三恵社)。

ながお たくまさんのHPへ